子宮内で育った赤ちゃんは
狭い産道を通って生まれてきます。
それは今までお母さんのお腹の中で
夢の中にいた赤ちゃんが
この世に生まれる儀式といってもいいでしょう。
お母さんの産道を通る時
そのプレッシャーを受けて
赤ちゃんは初めて
自分と外の世界の「境界」を経験します。
今までお母さんと一体だった胎児が
「個」を体験する瞬間です。
私たちの身体を覆っている皮膚は
私たちの身体を保護しているのと同時に
私たちの身体の境界でもあります。
物に触れるということ
何かに包まれるということ
人に抱かれるということ…。
つまり皮膚の感覚(触感)を通して
子どもは外の世界を知っていくのと同時に
「自分が外の世界とは違う存在なんだ」ということを学んでいくのです。
お母さんや家族、先生や親類に抱っこされながら
子どもは「他の人」を体験し
「自分」の存在を知っていきます。
「触れる」ことは
魂が安心して宿ることのできる
「身体」という「器」と
それに対する「感覚」を
子どもの中に育てていきます。
その「器」がしっかりと築かれれば
子どもは地上で落ち着いて暮らすことができます。
世界の中で「個」として存在する
自分の存在を認めることができます。
自信が生まれてきます。
手足のマッサージが
子どもを落ち着かせることができるのも
子どもの眠りを助けるのも
その理由からです。
「触れる」ことは
お母さんからの
「あなたはここにいて大丈夫」
「安心して生きていっていいから」
というメッセージです。
衣類、おもちゃ、家具や寝具など
できれば自然素材のものを選びたい。
それは子どもを「本物」で包んであげたいから。
「本物」に包まれて育った子どもの中では
「本物」の自分が育っていきます。
他の誰でもない
世界中でかけがえのない「私」という存在。
その「私」が世の中で
「私」を徐々に開花しながら
光を抱いて生きていく…。
「触れる」ということは
その道への第一歩です。