「水」の気質を持つお母さんからのご相談です。
「何をするのも遅いんです。マイペースっていうか。毎朝が戦争のよう」
「自分の世界に入り込んで、夢見がち。」
「寝床でゴロゴロするのが大好きで、腰が重く、なかなか動機を持ちません’。このままで大丈夫なのかしら。」
「みんなが楽しそうに走り回っているのに、本人はニコニコして見てるだけ」
「一人で遊んでくれるのはいいんだけど、時間が来てもやめられない。」
「一度言い出すと、かなり頑固で譲りません!」
「それまで穏やかに遊んでいたのに、急に火がついたように怒ることが時々あって、びっくりしてしまいます。」
「水」の気質の子どもたちは、気分が安定していて食欲もあり、よく眠るので
この赤ちゃんを持ったお母さんは「ラッキー!」と思ったのではないかと思います。
けれども集団生活が始まるとすぐ、お母さんは困ったことに気づきます。
この子たちは
「自分の『時計』をはっきりと持っているため、他の人の『時計』で動けない」
マイペースと言えば聞こえはいいけれど、協調性や柔軟性に欠ける
なかなかエンジンがかからないけれど
一旦動き始めたらなかなか止められないのが、この気質の特徴です。
教室にいると「水」の子はすぐにわかります。
「火」の子や「風」の子が、1つの課題を終えて次の指導を待っている時間に
「水」の子はまだ白紙。楽しく色鉛筆を並べていたりしますから。
そして授業が終わってお片づけの時間になっても
最初の課題が、まだ1/4も終わっていない…。
お片づけを始めるように促すと
「まだ終わってない。時間が足りない。」と真剣に訴えてくるのです。
美しいもの、美味しいもの、心地よい生活が大好きで
その中ですっかり満足して暮らします。
「世界はキレイで、美味しくて、気持ちいい!」が彼らの理想で
そのための環境づくりには労力を惜しみません。
けれども誰かがその美しくて心地よい環境を邪魔したり、破壊するようなことがあれば
火がついたように怒って周りを驚かせます。
この気質の子どもが怒りには、必ずはっきりと理由があるのが特徴です。
ここで注目したいのが、「水」の質です。
「水」といっても普通の水のようにサラサラしているわけではなく
この気質の子どもは「ゲル状の液体(寒天、ゼラチン、ペクチンなどでスライム状になった液体。)」のような性質を持ちます。
外界からの刺激がなければ、そのままの形で留まろうとします。
粘性の高い液体なので、動き出すのに時間がかかるものの
一旦動き始めると、その動きは重力を含んで加速するため
なかなか止まることができません。
ですから急に外から動きの方向を変えようとしても、うまくはいきません。
ゼリーや寒天のように、しばらく放っておけば固まりますし、
少し温めたり、揺すったりすればまた動くようにもなります。
粘性が強いために、加熱すると火山のマグマのように突然吹き出します。
この気質の子の怒りが爆発するのはこのためです。
この気質の子を上手に導くためには
この気質を理解した上での環境づくりから。
小手先のコツや言葉掛けなどは、残念ですがあまり役に立ちません。
ありがちな会話例:
母:ほら、朝よ。いつまで寝てるの?起きないと学校に遅れちゃう。
子:……。
母:着るもの選んで、さっさと支度して!
子:着るものか。うーん、今日は赤がいいかな…。それともピンク…。花柄もいいなー…。
母:まだパジャマなの?そんなこと迷ってる時間ないよ。なんでもいいから早く着替えて!朝ごはんも食べてないじゃないの。
子:朝ごはんは一体なーに?
母:テーブルに出てるからさっさと食べなさい。
子:オムレツとトーストか。オムレツの中はなにかなー?楽しみだなー。ケチャップをかけようか、そのまま食べようか…。チーズ入りかな?トーストにはちょっとジャムをつけようっと。先にジュースを一口。
母:ちょっと、まだ食べてるの?遅れちゃうよ。今日の支度はできてるの?もう昨日のうちにやっときなさいって言ったでしょう?歯磨いて、髪の毛とかして。みんな待ってるよ。ほら、靴履いて。
子:そんなに一度に色々言われても、できないよー(泣き)。
オススメの生活環境と会話例:
- 曜日ごとの朝食メニューを決めて見えるところに貼っておく(月曜日:目玉焼きとトースト、火曜日:…… など)
- 曜日ごとの着るものや靴もできるだけ決めておく
- 次の日の学校の支度をする時間を決め、前日に用意しておく。
- 寝る前に、「明日」をおさらいする。(何時に起きて、顔を洗って、〇〇を着て、〇〇を食べて、〇〇を履いて、〇〇を持って、学校に行く)
母:XXXちゃん、あと20分で起きる時間だよ。準備しといて。
母:あと5分ね。もうそろそろ起きるよ。
母:はい起きる時間になりました。起きたらなにするんだっけ?
子:顔を洗って、〇〇を着る。
母:そうね。今日は何の日だっけ?
子:目玉焼きの日。パンはジャムがいい。
母:はいはい。あと35分で出かけるから、15分位で食べれるかな?
子:うんできると思うよ。
このような会話をしばらく続けていると、生活リズムが子どもにしみ込んでいきます。
同じリズムを繰り返すうちに「子どもの時計」と「環境の時計」があってくるのです。
このような指導を、子どもが自発的にリズムに乗れるようになるまで続けます。
急激な変化は禁物。
何事も「だんだん」が基本。
次に何が起こるかをあらかじめ、できる限り明らかにしましょう。
すると子どもは前もってその時をイメージし、心の準備を始めます。
イメージが膨らめば、子どもはそれを「楽しみ」に待ち始めます。
その「楽しみ」が子どもを内側から動かします。
この気質の子は美的感覚にあふれ、人生を自分の感性で創造していくことができます。
自分の感性がときめくことであれば、
時間や労力を惜しまずにつぎ込んでいくスタミナを持ちます。
長い文章や大きなプロジェクトを、丁寧に時間をかけて仕上げていく持続力を発揮します。
経験から学んだことを積み重ねていけるタイプですので
世の中に出て行けば出ていくほど、深い叡智を育てることができます。
このタイプは気分が安定していて、寛容で、人生の豊かさを他の人とも分かち合えるので
周囲の人を安心させることができ、生活に安定感をもたらします。
「水」の気質に合っている職業:作家、画家、音楽家、歌手、インテリアデザイナー、建築家、暮らしのアドヴァイザー、調理師、写真家、彫刻家、カラーコーディネーター、ホテル・ペンション経営、園芸家、企画経営者など
おすすめダイエット:塩分をとる。糖分を控える。
糖分は「水」の子の粘質を高めますので極力控えましょう。
塩分は自分のペースの中で「眠って」しまいがちな「水」の子を「起こす」作用がありますので、効果的に使いましょう。
このタイプの子どもたちは
側にいるだけでホッとする、オアシスのような存在です。
「水」の子どもは
砂漠化する世の中を潤し、生命や色彩や美しい音をもって豊かにする使命を持って
この世に生まれてきました。
この子たちの「光」が、世の中に輝きを放つように応援していきたいものです。
この子たちの感性によって「楽園」のように生命力にあふれた世界が
次第に築かれていくことでしょう。