八歳の終わりごろから子どもは少しずつ
今までと違った側面を見せ始めます。
今まで素直にお母さんの言うことを聞いていた子が
口答えをするようになったり、
今まで誰とでも仲良くできていた子が
「XXXちゃんが遊んでくれない」と言ってきたり、
今まで自信を持って楽しく学校に通っていた子が
「わたしはXXXが下手だから」と言うようになったり…。
今まで、まぶしいほどの「光」にあふれていた子どもが
うっすらと「影」をまとうようになるので、
お母さんとしては心配してしまうでしょう。
今までまっすぐ鵜呑みにしていたことに疑問を持つ
親に素直に従わなくなる
自己主張が強くなる
生意気なことを言い始める
情緒が不安定になる
学校や友達、先生に対する不満が多くなる
人と自分を比べたがる
暗闇が怖くなる
怖い夢を見る
威張っていたかと思うとすぐ赤ちゃん返り？
自信がなくなる・自己評価が下がる
これらの兆候をワルドルフ教育では「Ninth Year Change」の症状とみなします。
日本では一般に「九歳の危機」と言われていますが
私は「九歳の変化」という言い方をしたいと思います。
このような突然の子どもの変化に、戸惑ってしまう親御さんも少なくないでしょう。
けれどもこの症状が、子どもにとって
健康な成長の過程である
誰もが通る道である
一時的なものである
ということを理解していただけるたら
「うちの子、どうしちゃったの？」の不安が軽くなるのではないでしょうか？
また、「私のせい？」「学校のせい？」「友達のせい？」
という疑惑からも解き放たれるのではないかと思います。
そして少しこころに余裕を持ってお子さんと向き合ってあげることができるでしょう。
ちょっと寂しい言い方をすると
「九歳の変化」は子ども期が終わり始めたことのお知らせです。
子ども期は九歳から十四歳までの、約五年をかけて終わりを迎えますが
「九歳の変化」はその最初の兆候。
今まで「光」の世界に生きていた子どもが、
地上の「暗闇」の中で生きるための準備を始めたと言ってもいいでしょう。
大人と子どもとの根本的な違いはなんでしょう？
| 子ども | 大人 |
| 外界とつながっている | 外界とは違った「個」を持つ |
| 外界に依存している | 外界から独立している |
| 外界を全身で受け入れる | 外界を理解し判断する |
「九歳の変化」は、上の表で左側だった子どもが、右側に移行し始めたというしるしです。
つまり、今までつながっていた外界と自分の間にすき間ができ始めるために
子どもは、「自分」が外界からは違った存在なのだということを感じ始めます。
「違う」ということは私たちに
微かな恐怖と不安を与えます。
自分と周囲を必要以上に意識させます。
周囲に対しての疑いを植えつけます。
外界から取り残されてしまったような、寂しさを運んできます。
「九歳の変化」の真ん中にいる子どもの変化が
「違う」ということに気づいた結果であることを
周りにいる大人たちが理解し、包み込んであげることが
子どもにとっての、何よりも助けになるでしょう。
私たちは青虫とサナギと蝶々が
同じ生き物であることを知っています。
それと同じように
子どもが変化をしていく時
子どもの本質（光）を理解し、見つめてくれる大人がそばにいてくれることが
子どもにとってかけがえのない支えとなります。
「光の子育て」がこの時はっきりと生きてきます
次の記事に、この時期の子どもとの関わり方を具体的に記していきますので
どうかご期待ください。
